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みちるはゆっくり、ゆっくりサイドテーブルに顔を向ける。
体から金色の光を放つ、小さいおじさんがテーブルの上にいた。ランニングシャツから下っ腹がはみ出して、緑の股引を履いている。
おじさんはなんだか疲れた様子で、歯を鑑定するように左右から見ている。
みちるはがっかりした。
そして、これまでおじさんが置いて行ったと思われるニセ一万円札やベトナムドンのことを思い出し、怒りが湧いた。
みちるはガバッと起き上がり、蚊を叩く要領でおじさんを勢いよく両手に挟んだ。
「ふぐ」
手の中で何となく油っぽい物体が小さく呻き、暴れているのがわかる。
「はあ、はあ、きもっ、おねーちゃん! 起きてよっ」
「せんせぇ…まだですか………うはっ」
昼間のトラウマを夢でリプレイしていた望が目を覚ます。
「うー気持ち悪いよー! 早く変わってええ」
思っていた妖精さんではない上に手触りがきもい。涙目のみちるの両手から、光が漏れている。
「みちる! ゆっくり手をあけて!」
望が手をみちるの両手に添え、みちるはゆっくりとその物体を開放する。
「あっ」
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