またまたプリズンホテル スイートルーム

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深夜になり進藤さんの検温をしたけれど、もう微熱で彼はすーすーと規則正しい呼吸で眠っている。 このまま朝までぐっすりと眠れるといいなと思う。 今日のライブステージは本当に素敵だった。 あんな体調であんなパフォーマンスができる進藤さんがすごいと思った。 ステージで大勢の観客を虜にする男性が今私の前で無防備に眠っていると思うと不思議な感じ。 朝になったら私は元の世界に戻っていくのだから、少しだけ、今だけ寝顔を見ていたい。 余分な肉などついていない引き締まった顔のライン。 男性的なきりりとした眉。 少しひげが生えかかった顎。 薄くも厚くもないくちびる。 目の下のほくろ。 明らかに私は進藤さんに好意を持ってしまった。 これから熱狂的なファンになってしまうんだろうなあ。 この仕事が終わったらCDもライブDVDも大人買いだ。 今までそんなに芸能人にもミュージシャンにも入れ込むことがなかったからそんなことを考える自分に笑えてくる。 35階のBARで見つけたのは『大人の女性の自分』じゃなくて『イケメンギタリストの大ファンになる女』だったらしい。 隣の寝室の毛布を持ち出して昨夜と同じ進藤さんの眠る部屋のソファで丸くなる。 ここにいれば、進藤さんに何かあった時にすぐに気が付くはず。 進藤さんの状態は安定しているから少しだけ仮眠をとっておこう。 明日の朝、進藤さんの診察と朝食のお世話をして、木田川さんとバトンタッチしたら私はクリニックに出勤しなければ。 今から3時間くらいは眠れるはず・・・。 ・・・夢を見た。 ふわふわと雲間を漂い、温かくて大きなものに包まれて髪を撫でられる夢。 すごく気持ちがいい。 ん、んん。 うん? うわあ。 目を覚ますと昨日のデジャヴかと思う光景。 またもや進藤さんの腕の中。 向かい合わせに抱き合うようにしてというか進藤さんに抱え込まれている。 「な、何で私またここに」 飛び起きようとする私をぐっと両手で押さえ込み「果菜、うるさい」と進藤さんはしかめっ面をした。 「またトイレに起きたついでに私を運んだんですか?」 涙目でもがく私に進藤さんは笑っている。 「果菜って寝起きがいいのか悪いのかわからないな。ベッドに横抱きにして運んだ時は寝ぼけて気持ちいいってしがみついてきたのに。今はこんなに暴れるし」 え、しがみついたの? しかも「気持ちがいい」って。 驚きと恥ずかしさで完全フリーズする私。
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