またまたプリズンホテル スイートルーム

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「まあ、いいじゃないか。果菜だって疲れたんだし。今朝は誰も見てないよ。まだ早いし、もう少しこうしてろ」 私をしっかりと抱え込もうとする進藤さんに慌てる。 「きゃー、ムリです。無理、むりー。こんなの進藤さんのファンの皆さんに知られたら私、殺されちゃう」 「何言ってんだよ、果菜。お前が言わなきゃ誰にもわからないし、そんなこと言ってたら俺は結婚どころか恋愛だってできないじゃないか」 「いえいえ、大丈夫ですよ。ヒロトさんでしたっけ、結婚されたんですよね。進藤さんも大丈夫ですって」 ジタバタともがいて進藤さんの腕から出ようとする。 ああ、これ昨日の朝もやったわ。でも、昨日の朝より元気になってるせいかなかなか出られない。 「果菜、お前、ヒロトが結婚できたから俺も大丈夫だって思うんだな?」 「思いますよ~。大丈夫ですからここから出してぇ」 「そうか、なおさらいい。お前、おとなしく抱かれてろ」 「だから、ファンの皆さんに殺されちゃいますってばー」 やだやだ、まだ死にたくなーい。 「だから、俺だって恋愛も結婚も許されるんだろ?」 「大丈夫ですよぉ。だから放してくださいー」 「果菜の言ってることはかなり矛盾してるぞ。お前の中で相手が架空の誰かはOKで自分はNGなんだな」 「当ったり前じゃないですかぁ」 「俺は果菜がいい。初めてアツシの店で見かけた時から果菜がいい」 え? 驚きの言葉にもがく手を止めた。 今、何て? 「果菜は10日前に会ったのが初めてだと思ってるだろうけど、その前にも果菜のことあの店で見かけてる。知らなかった?」 こくこくと頷いた。 「あの店って3人以上で行くと店内のらせん階段を使って下のフロアに案内されるだろ。だから、果菜は気が付かなかったのかもしれない。俺は普段スタッフと打ち合わせで下のフロアの奥にある個室を使っていたから」 下のフロアがあるのは知っていた。 私が飲んでいたのは1人か2人で訪れた客用の落ち着いた静かなフロア。3人以上で訪れると下のフロアに案内される。木下先生以外とは一緒に行ったこともないから下のフロアがどうなっているのかなんて知らない。
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