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シーン2 学食で出会ったなら
僕の彼女、都築かおる子は、周りの人から
「氷姫」もしくは「クールビューティ」と呼ばれている。
むろん、そんな彼女と知った上で僕は
彼女を好きになり告白し、
半年間付き合ってきた。
「よう、多田。むこうから氷姫が来るぞ。」
学食で遅めのお昼ご飯を食べていたら、
向かいに座っていた、同じサークルの澤部が
ニヤニヤしながら声をかけてきた。
振り向くと、学食の入り口に席を探してキョロキョロとしている、かおる子がいる。
僕の顔は条件反射で緩む。
視線を彷徨わせている彼女が一瞬、明らかに僕を捉える。
しかし、彼女はすぐに目を外して、僕がいる方とは反対の食堂の奥の方へと移動していく。
「おい、今、絶対お前に気づいたよな。」
友人よ。敢えて突っ込むことなかれ。
僕は嫌々ながら、また彼と向き合う。
澤部の目は哀れみ半分、からかい半分。
僕は、仕方なくへらっと笑って、
「かおる子は目が悪いんだ。」
と肩をすくめてみせる。
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