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シーン3 学食でのヒトコマ
付き合い始めの僕なら、
ここですぐに彼女にメールを送る。
『今、目合ったよね?!』
彼女からの返信は
かなり時間が経ってから、
『何のこと?』の一言。
このやり取りを何度取り交わしただろう。
例えば、それでも、
彼女が二人の時は甘々なんだ、仕方ないよな、
なんてことなら、僕も悩んだりしない。
けれども、僕の彼女は
二人きりの時でも「氷姫」だ。
「お前ら、別れたの?」
澤部が不憫そうな表情で聞いてくる。
その顔は、やめてくれ。
「別れてないよ。今日もこの後一緒に帰るんだ。」
僕は黙々とカレーを平らげることに集中する。
澤部の視線をまだ感じる。けれど、僕は必死で気がつかないフリをする。
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