2人ブレインストーミング

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2人ブレインストーミング

 絵里『私が選ばれた理由ですか?・・他の誰かが、私を選んだ理由だなんて・・そんなの私に訊いたって、分かるはず無いじゃないですか!・・そんなに知りたきゃ、私を選んだ人に訊いてよ!』 哲也「そうじゃなくて・・僕が知りたいのは、選ばれた君自身がその理由なんかについて、考えたことなんか、あるのかな~って?思ったから、だから訊いたって訳」  絵里『そりゃあ、正直言って、そんなこと考えたことも無い!・・と言えば、嘘になるわね!』 哲也「そう、そこなんだよ、例えば・・選ばれたことが嬉しかったのか、それとも、迷惑だったとか⁉ その心理を知りたいんだよ」  絵里『そんなこと訊いて、どうするつもり? それが哲也のためになるの?』 哲也「是非、参考にしたいよね・・男性に恋人宣言された女性って、どのような感情になるのか、そこは是非知りたいんだよね!」  哲也と絵里は、同じ弁護士事務所に勤めている。 部署は異なるものの2人は職場仲間であって、今は20人程が座れる調停・会議室に居る。 事務所のルールで、日常業務で携わることの無い、二人ブレインストーミングの最中である。  絵里「そもそもかなり以前から・・彼の方は私にぞっこんだったんじゃないかな⁉ だって、毎日、私に声掛けてくるんですよ』   哲也「どうしてだろうね?・・何処が気に入ったのかね?」    絵里『なによ! そんなに人の顔・・じろじろ見ないでよ!』 哲也「ごめん、ごめん・・人と話すときは、相手の顔から眼を離すな! って、小さい時から親父によく言われていたもんでね・・」 哲也「声掛けられるって⁉ どんなところで、どんな風に・・そう、例えば同じ職場なら、休憩室とか?・・でも、それは無いよね?」  絵里『そうよ! よく分かったわね、同じ職場と言うか・・正しくは同じ事務所に勤めているわよね・・毎朝、顔を合わす毎に声掛けられるの・・ホントしつこいんだから!』 哲也「うちの事務所にそんな奴、居たかな?・・君、一階のロビーで受付やってるんだろ⁉ いつも誰かに見られているだろうし・・そんなところで普通、ナンパなんかするかな? そんな勇気のある奴って・・居ないよね?」  絵里『それが・・居るんです!・・だから人生って面白いのかも、知れませんよね』
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