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菅田 智樹
2年前、森嶋が新入生として入ってきた時から格好いいなと思っていた。
頭はいいし、剣道部では期待の星として崇められてた。
剣道をしている時は勿論、ちらっと移動教室の時見かけたことがあるのだが、バスケをしている姿もすごく格好いい。
1つ年下なのに僕より背が高くて、でも、やっぱり後輩らしくて可愛いところもある。
彼は僕の誕生日を欠かさず祝ってくれるのだ。皆にしてるのだろうとは分かっていたが、中身は勿論、くれた時の箱から包装紙まで、どうしても捨てれずとってあるなんて、気持ち悪くてとても言えない。さらに、
「スガさーん!」
と、森嶋は僕を視界に捉えると、必ず手を振ってくれた。
恥ずかしくて、はにかむ事しか出来なかったけど、あれ、本当は飛びつきたいくらい嬉しかったんだ。
次会ったら、僕も思い切り手を振るんだ、と思っていた。
でももうだめだ。間に合わない。
卒業式が来てしまった。
うちの代の女子達も結構目をつけてたみたいで、ちらほら森嶋の周りには女子が集まっている。
どさくさに紛れて、1、2年もいたが、森嶋は平等にニコニコと微笑みかけていた。
へらへらせずに、好きじゃないなら押しのけちまえよ。僕のとこ、来てよ。
そんな事しか思えない自分は、やっぱり森嶋に相応しくないのだと痛感する。
2年抱えた想いが独りで抱えるには重すぎて、つい、森嶋の同期で、幼馴染みの笠木に思った事をこぼしてしまった。
一生誰にも言わないつもりだった。
でも、今日だけは誰かに気づいて欲しかった。
「スガさん、まさか」
ああそうだよ、僕は森嶋が好きだよ。
そう言えたらどんなに良いことか。
「いやいや!」
けれど僕は、いつもの癖で、笑い飛ばしてしまうのだ。
可愛くないと我ながら思う。
けれど笠木はもう気付いてた。
小学生の時から一緒で、ずっと僕が兄貴みたいな存在だと思ってた。
でも抱きしめられて、「無理しないでください」なんて言われたら、
泣いちゃうじゃんか。
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