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「そんなにひどいのか?」
『舌筆に尽くしがたいほどです。私は同志を救えませんでした』
「……」
同志。ディザイアの血の気が引いた。
研究室内へ小走りに入るとすぐ目に飛び込んでくるのは、巨大な作業台だ。ロボットを組み立てるため、もしくは解体するための部品を全て置けるような、ビリヤード台を二台並べて広げたほどの大きさのものである。
フィンセントはそこに突っ伏していた。寝ているのか、うなだれているだけなのか、ディザイアにはどちらでもよかった。
彼にとっては、作業台の上に並べているそれらの方がよほど心をえぐった。吐き気と、怒りと、悼みが同時に訪れた。
それらは成れの果てであった。
かつてアダムとイヴと呼ばれていたロボットたちだった。
一切の部品がバラバラにされており、彼らの電子回路はどこにも見当たらなかった。
「フィン……!」
気づけばフィンセントの顔が目の前にあった。自分が一体何をしたのか一瞬わからなかった。手元を見ると、フィンの服の襟を締め上げていた。
立ち上がらされたフィンセントは、それでも疲れた半目でディザイアを虚ろに見ていた。
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