プロローグ

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 ユージ・カリヴァン様  弊社代表取締役社長、および、貴殿の兄上であるフィンセント・カリヴァン氏が、XX月YY日に亡くなられました。謹んで故人の冥福をお祈りいたします。  遺族である貴殿に知らせることなく執り行いました葬式、甚だ遅れての文書通知、その他諸々の無礼を深くお詫びいたします。そして弊社一同、時代を百年は推し進めたであろう故人のロボット工学技術を、全力で守り抜く所存でおります。  さて、おりいって貴殿にお願い事がございます。氏の遺品についてです。  簡潔に申し上げますと、故人の技術の総決算と言うべき遺品に、貴殿にのみ解除可能なプロテクトがかけられているのです。ただ一人の例外もなく、弊社内の誰も──ここは特に強調せねばなりません。──それを起動できません。縁者である貴殿にのみ可能なのでございます。  つきましては、貴殿のお力添えを頂ければと存じます。  詳細は、弊社の定める特一級企業秘密に抵触するため、是非とも直接お会いしてお話できればと存じます。  飛行機のチケットを同封いたしました。何卒、よろしくお願い申し上げます。 U.C.R.社 副社長秘書 UCR・センチネル・バトラー P.S.  遺品に関わるシティでの滞在費用は、全額弊社で支払わせていただきます。
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