隣り合わせ

惚れて通えば千里も壱里

　惚れて通えば千里も壱里、好きになったら痘痕（あばた）も靨（えくぼ）

１） 最初の出会いは、驚くほどの美人じゃないが、と言って悪くも無かった・・これがお手軽ってところで、声を掛けたんでしょ？

２） 君って、案外スタイルが良いんだね・・

３） 君のヒールが壊れた時・・「恥ずかしいから止して！」て言ったのに「俺も男だよ！」って負ぶってくれたでしょ。

４） 勿論、大病は患ったことないし、いまでも頑丈だよ！

５） そうね、あまり人前で、しゃしゃり出るのって苦手だし

　つまり、めっちゃ美人でもなければ、弁護士先生でもないの・・
だけど、人ってね・・そんなに偉そうでなければ、暫く付き合うだけで、お互い、好きになれるのよ！

　そのうち「惚れて通えば千里も壱里」つまり、遠く離れていても会いに来てくれるようになるの⁉

　「好きになったら痘痕（あばた）も靨（えくぼ）」って知ってる？
私のほうれい線のこと「靨（えくぼ）みたい！」って言ったの忘れたの⁉

　「君ってよく喋るね・・ところでこの問題って、何かの雑誌に掲載されていたの？・・いや、そうじゃないよな・・こんなつまらない問題なんか何処の雑誌社も編集する訳ないよね？・・」

　そうね、雑誌じゃないのは確か！

「じゃぁ、どうしたの？」

　そんなに、褒められると恥ずかしいわね・・
私よ！　私しか居ないでしょ・・周りを見渡してから質問しなさいよ！

　「あっ、そうか・・分かったような気がする・・
ねぇ、ちょっとお尋ねしますけど・・ひょっとして、ここで「選ばれた人」って言うのは誰⁉　誰のことを云ってるんですか？

勿論、私のことよ・・惚れて通えば、千里も壱里って知らないの⁉
「知りません？・・中国のことわざ？」

どうして？　ここで中国が登場するのよ！
「だって、万里の長城って中国じゃない・・」　

じゃぁ、好きになったら痘痕も靨は知ってるわね！
「好きになってしまうと、相手の欠点も、長所になる！ってことですよね？」

「良かったじゃないですか、そんなに思われたあなたって、幸せじゃないですか⁉」

そう？・・どうも有難う・・

「しかし、あなたのこと、そんなに迄、思ってくれる人って、誰？・・　誰のこと指さしているんですか？・・旦那さん？・・でもないか？　ねぇ教えてくださいよ！」

　今更・・何、言ってるの⁉・・　

「えっ、今更？って」

　あなたじゃないの・・あなたが私に、強引に迫るから、私が根負けして、奥さんに成ってあげたんじゃないの！　気味の悪い呆けしないでよ！・・

　「えっ、ちょっ待ってくださいよ、私があなたの旦那さんなの？・・どうして？何時からそうなったの？」

　あなた、ホントに呆けてしまったようね？　
あなたが、強引に迫ったから・・許したんじゃない・・そんなことも、覚えてないの⁉

「無理、無理・・無理だよ！　そりゃ無理だって！」

　どうしてそんなこと言うのよ⁉・・人前で恥欠かさないでよ！

　「だって、あなたとは、今日、初めてこのヨガ教室で隣り合わせになっただけでしょ！」

へぇ～ここって、ヨガ教室だったの？・・
これって、私じゃなくって・・選ばれた人って、あなたの事だったんだ！

「もうイイよ！　君の妄想には付いて行けないよ！」