2#パドックで出逢った美しい新馬

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 新馬戦のパドック。  「美しい・・・」  僕は、1頭の新馬に見とれていた。  筋肉の張り。  艶々した鹿毛。  鬣から尻尾までの流麗なライン・・・  「ねぇ、誰にした?」  「僕はこれ。」  「2番スペースシップ?!まじかよ!!こいつ最低人気だよ?!」  そう。僕が選んだスペースシップという馬は、単勝200倍というダントツの最低人気だった。  「俺はこれだ。」「私もよ。」  1番人気は、史上高額落札された超良血馬だった。  他の競馬仲間は、皆この超良血馬から馬券を狙おうとしていたのだ。  「いいや、僕は断然こいつが!!」  「チャレンジャーだねえ・・・」  がしゃん!!  レースになった。    ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!  案の定、僕の選んだスペースシップはダントツの最後方。離される一方だった。  それに引き換え、1番人気の良血馬は先頭の鼻に立って逃げて格の違いを見せていた。  ・・・やっぱり・・・  僕は落胆した。  その時!奇跡が起きた。  最後の直線で、超良血馬はバテて馬群に呑まれていったのだ。  代わりにやって来たのは、僕の選んだスペースシップだった。  スペースシップは、後方一気に全馬をごぼう抜きしてゴールを駆け抜けたのだ!!  ・・・・・・!!  僕はスペースシップの単勝を握りしめて興奮した。  「すげーじゃん!!大穴当てちゃったじゃん!!」  僕は競馬仲間に羨望の眼差しを受けた。  「いや・・・紛れですよ。」  スペースシップの卓越した強さに魅了された僕は、これからスペースシップを応援して追いかけていこうと思った。  「また『あいつ』にパドックで逢いたいなあ。」    しかし、数ヵ月後思いも寄らない事態が巻き起こった・・・  
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