球技大会の話

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「ふふっ…かけるん、顔色で何考えてんのかバレバレなんだけど!命に関わるカンジじゃないし、急を要するカンジでもないから、そんな可愛い顔しないで☆」  そう言って土屋は明るく笑った。  はあ?命には関わらない…?  しかし医者にも治せない…。一体どんな病気なんだ?  俺が首を傾げると、土屋はまた口を開く。 「ねえ、かけるんって、もしかしてコイをしたことない?」 「は?」  コイ…コイって、恋愛とかそういう? 「いや、どうして、突然恋愛の話になるんだよ?」 「えー、だって、かけるんが信じらんないくらい鈍感なんだもーん!だから、恋したことないのかなぁって!」 「はあ?鈍感って、お前、俺のこと馬鹿にしているな!?…俺だって、恋くらいしたことは…………」  ん…?恋?  恋って、誰かを好きになったりするアレだよな?  恋をしたこと、誰かを好きになったこと………  …あれ?俺、まさか…… 「……ないな…え、俺、恋したことないのか!?」  今までの自分の人生を思い起こして、その結果を口にして、改めて耳で聞いてみて驚く。  俺、人を好きになったことが1度もないではないか…! 「えっ、かけるん、今までそれすら無自覚だったの〜?!」 「だって、そんなの考えたことあまり無いし…」 「…あははっ、かけるんってホント変わってるー!想像以上に鈍い!超可愛い!」  土屋はそう言いながら、俺の片手を取って、ギュッと握った。 「は?おい、何だよ」 「んー?何でもないよ。ただ、かけるんって、やっぱり恋をしたことないんだなぁって」  土屋はどことなく嬉しそうに微笑んだ。  そして、ボソッと呟く。 「…オレと同じだ」 「え?すまない、声が小さくて聞こえなかったのだが、何て言ったんだ?」  土屋が何を言ったのか分からなくて聞き返した。  すると、土屋は何故か指を絡めて来た。  え、なんだその触り方、すごくゾワゾワする…。 「ふふ、何でもないよ。………あーあ、かけるんのことオトせる人って、どんな人なんだろうね」  絡めた指をニギニギとしながら、土屋は優しく笑った。  …落とす?それはどういうことだろうか。  それは、高いところから落とすとか、そう言うことか?いや、でも何故そんなこと気にしてるんだ?  というか、土屋はどうして指を絡めて来たんだろうか…?  頭にハテナを浮かべまくっていると、突然、土屋に握られている方の手首を、他の誰かに掴まれた。  俺の手首を掴んだ手は、小さく色白なものである。 「眼良…?」  その手の主人は眼良であったが、視線をその顔に向けると、何だか少し浮かない表情をしていた。
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