球技大会の話

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 今の会話…眼良が運ぶと言ってくれたのに真鎖に頼もうとすると言うことは、すなわち眼良のことを信用していないという風に聞こえるのかもしれない。  だから、眼良は悲しそうなのだな…。  そう理解すると、良心がチクチクと痛む。  そんな顔をさせるくらいなら、いっそ運ばれてしまおうか…ああ、それが良いだろう。 「……それじゃあ、眼良…すまないが、よろしく頼んでも良いか?」 「…はいっ!しっかり安全に、優しくお運びしますね!」  眼良は、俺の言葉に笑った。  それから眼良は、片腕を俺の背中に回し、もう片腕を俺の膝の裏に回した……って、この流れは…! 「眼rっ…ひ、姫抱き…!」 「先輩、意外と軽いですねー、ちゃんと食べてますか?」 「いや、平均体重とほぼ同じくらいだし、昨日は夕飯でカレー2皿食べた……って、そうじゃなくて…こういうふうに抱えられるのは…!」 「………やっぱり、抱えられてもなお、僕では頼りないですか…?毎日スポーツをして鍛えてるつもりなんですけど、僕じゃ駄目ですか…?」  眼良は途端にシュンとしたような表情になった。  ああ、そういう顔をさせたい訳ではないのに…。 「いや、抱えられた時の安定感は、その体のどこにそんな力が眠っていたのか不思議なくらい凄い…というか、何なら、土屋に抱えられた時より安定感がある気がするが……」 「本当ですか…?」 「ああ」 「えへへ…じゃあ、このまま、運ばせて頂きますね」 「えっ…?」 「それじゃあ、先生達、失礼しました」  眼良は歩き始め、そのまま保健室を出た。  慌てて俺も「失礼しました」と言い、次に眼良の顔を見上げる。  すると、その顔には嬉しそうな笑みが浮かんでいた。  前方から、生徒が数名歩いてきていて、眼良に抱えられている俺のことを不思議そうな目で見てくる。  それを感じて、やはり、何となく恥ずかしく思った。  ……しかし、眼良の嬉しそうな顔を見ていると、それも「まあ良いか」という気持ちになっていく。  眼良は、もしかして頼られるのが好きなのか…?だから、俺を運ぶのも嬉しそうなのたろうか…?  真意は分からない。  けれど、悲しそうな顔をされるよりは、多少俺が恥ずかしくとも、嬉しげな表情を浮かべていてもらった方が断然良い。  俺は、眼良に抱えられている身体から力を抜き、眼良の腕に身を委ねた。
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