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「ねえ、かけるん、なぁんか、めらちーに甘くない…?オレが抱っこした時はもっと嫌そうだったのにぃ〜…」
土屋が、後から付いてきて俺達の隣に並び、ジトーとした目線を俺に向けてきた。
眼良に甘い……いや、甘いというか…普通に、年下には優しくしないとだろ?
あと土屋の場合、俺のこと面白がっているところが気に入らないから、態度が厳しくなりがちなだけで…
「十分の一でも良いから、俺にもその甘さを分けてくれると嬉しいんだけどなぁ」
土屋は軽い調子でそう言った。
「それにはまず、お前が俺のことを面白がってからかうのをやめるべきだろう。」
「ああ、それはムリだよぉ〜!だって、かけるんはオモシロくて可愛いもん」
「いや、だったら断るに決まってんだろ!」
というか、そちらが改善しようとしないのに、こちらだけが改善する必要がどこにあるというのか。いや、ないだろう!
「えーっ、かけるんのケチっ!かけるんのそんなトコロも良いと思うけど…でもやっぱり、めらちーと同じくらいには仲良くしてくれても良くない?ね、まぐまぐもそう思うよね?」
土屋は後ろを振り返って言った。
すると、俺たちより一歩下がって付いてきていた真鎖は、ピシリと表情を硬らせる。
「お、俺は……つ、ツンツンしてる系の、平凡受けも、す好きだから…ぶ、ぶっちゃけ、今みたいに、嫁兼くんが厳しくても、割と、美味し、い……」
真鎖は、まだ土屋には慣れていないようで、土屋と目を合わせないようにしながら、上擦った声で言った。
明らかに緊張している様子だ。
けれど、それでも腐男子である姿勢は崩さないのだから、逆に感心する。
「うわぁ…まぐまぐ、うちの姉さんと似たようなこと言ってるぅ…」
土屋は少し驚いたような声で言った。
それを受けて真鎖は、視線をバッと土屋の方に向ける。
「おっ、お姉さんと、似てる…?」
「うん、そう!うちの姉さん、BL…特に、ツンデレ受けっていうのが好きなんだ〜!」
満面の笑みを浮かべながらそう言う土屋に、真鎖は目を輝かせた。
「えっ?そうなの!?マジ?」
「マジマジ!…姉さん、今は仕事でウチを出て一人暮らしをしてて、最近あまり会えてなかったけど、BL好きなまぐまぐの話聞いてたら、懐かしくなっちゃった〜!」
それを聞いて、真鎖はさらに目をキラキラとさせる。
そうか…BL好きだと言うことは、真鎖と同じ……
「土屋くんのお姉さんって、腐女子さんなんだね!」
真鎖は、そう言いながら土屋の目を見て笑った。
そして次に、その眼差しに期待の色を滲ませる。
「ところで、土屋くんはBL好きだったりするの?!」
真鎖は少し興奮したような声で言った。
しかし、土屋はそれにゆるゆると首を振る。
「いや、オレは別にー。姉さんが好きだから、BLを好きなことに偏見とかは無いけどね」
「なぁんだ、そっかぁ…」
「……でも、そうだなぁ…」
土屋はそこで言葉を切り、目を細めてオレの方を見た。
その顔は…なんだろう、何だか良からぬことを考えているような気がする…。
「何だよ、土屋」
オレが聞くと、土屋は悪戯っぽい表情を浮かべた。
「うーん、BLが好きって訳じゃないけど…可愛い男の子は好きだよー!例えば、かけるんみたいな☆」
「「はぁ?」」「ふぁい?!」
土屋の唐突の爆弾発言に、俺と眼良は腹の底から低い声が、そして真鎖は興奮したように高い声を出した。
土屋はそんな俺達の反応を見て、「わ〜、超期待どーりの反応!ウケる〜!」などと言って笑っている。
…土屋のこの様子…さては、また俺のこと揶揄ったな!?
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