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苦悶のアルテミス
何故わたしはオメガになってしまったのか。オメガになってしまった時点で、わたしは子供を産むためだけの存在となってしまうというのか。
「…ぐへぇ…」
朝起きた時点では平気だったはずが、出かける直前で急に下腹部に痛みが走る。しかし、今日は休むわけにもいかないと思い、急いで痛み止め薬を取り出して、流し台にしがみつくように水を飲む。
女オメガの辛さは、月に一度の月経に加えて、3ヶ月に一度の発情期があることだ。発情期は一週間近く何もかもやる気がなくなるし、月経期は腹と頭が痛くなるし、もう本当に最悪。
薬を飲んだからって、直ぐに痛みが消えるわけじゃない。分かっていても、苛立ちは消えない。
「…こういうときに限って…」
わたしはただ、なけなしのバイトを頑張り、やりたいことを精一杯やりたいだけ。運命のアルファとか、優秀な子供とか、どうでもいいのだ。
なのに、この痛みは、わたしのオメガとしての運命が逃れられないものとして重くのしかかる。
「…くっそう!!」
仕事が始まるころには、痛みは和らぐはず。
わたしは、気合いを入れ、運命に逆らうべく、立ち上がった。
〈終〉
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