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クエスト1.これじゃただのお使いじゃん!
私には昔からの付き合いの魔術師、マルガリータ=クルスカという人がいる。
彼女は腕利きの魔術師で有名だ。
少し変わったところもあるが、決して悪い人ではない。
ある日私はマルガリータに魔法の花『セレスタ』を摘んできてほしいと頼まれる。
「ねぇグレーテ、私のお願いを一つ聞いてくれない?」
「対価は?」
「ん~そうねぇ、あなたにおいしいビスケットでも作ってあげようかしら?」
「バカにするな、私はそのような物を欲していない」
「そう言われても、私じゃ取ってこられないんだもの、仕方ないじゃない。
私が一番信用している剣士はあなたなんだから」
「嘘をつけ、他にもいっぱい剣士はいるじゃないか、なぜ私なのだ」
「あなたが一番腕のいいことを私は知っているからよ」
私は渋々マルガリータのお願いを聞くことにした。
「いいだろう、では摘んできてやろう。
その『セレスタ』という花はどこに咲いているのだ?」
「あら、その気になってくれたようでよかったわ。
花はどこにでもあるわけじゃないの、移動する花なの。
つまり自我がある花ってこと。わかる?
だから現在地を調べながらじゃないと行けないの。
私の移動速度では到底たどり着けないからあなたにお願いしてるってわけ」
「そんな説明は後でいい。今の場所を教えてくれ」
「そんなに急かさないでよ。今は西の丘の上にあるわ。
あるというかいるというか…」
「そうか、では行ってくる」
「待って待って、早いわよ。どんな花かわかんないと摘んでこれないでしょ?
見た目は薄いピンク色をしていて、とても小さな花よ。
群生はしていないから見ればわかるはず。
日の沈む頃にはまた移動してしまうから、それまでに摘んでちょうだいね」
「わかった。では」
私はカタナを持ち出掛けた。
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