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西の国『ミルドール』に向かうためには、長い長い森を抜けなければならない。
そこは魔物の巣窟として有名な森だ。
中にはいくつかのダンジョンもある。
もちろん私たち以外にもたくさん剣士がいるだろう。
と、思っていた矢先、やはり魔物に見つかってしまった。
「キャー!ちょっと魔物よ?どうすればいいのよぉ」
全く、この人は何も考えていないんだから…
ちょっとぐらい戦ってくれたっていいだろうに…
「今の私では魔物に太刀打ちできる術が何もない。
申し訳ないが、できるだけ早いスピードで馬車を飛ばしてくれ。
逃げるしか道はない」
「わかったわ!ちゃんと捕まっててね…行くわよ!」
マルガリータは馬車を急いで走らせてくれた。
そのおかげで無事魔物をまくことができた。
「ふぅ、危なかったわね、助かったのは私のおかげなんだから感謝してね」
一体誰のせいでこんなことをするハメになったというんだ。
お前だろうマルガリータめ…。
すると突然馬車が停まった。
「なになに?今度はなんなの?」
「落ち着け、少し外を見てくる」
「その格好だと魔物に見られたときにまずいわよ」
「今はそんなことを言っている暇はないだろう!」
私は馬車を降りて外の様子を窺った。
雨でも降ったのか、沼地に差し掛かったのかはわからないが、
馬がぬかるみにはまり、動けなくなっていた。
馬車に戻ると私はこう言った。
「馬車はしばらく使えそうにはない。
他に何か移動手段はあるか?なるべく早いものがいい」
「そんなものないわよ!馬車が一番早いんだから!
あと移動手段があるとしたら歩くしかないわよ?」
なんてこった…まぁしょうがない。
「では馬がぬかるみから出られるまで時間を潰すとしよう。
どうせ何日か掛かる。私は食料になる動物を捕まえてくるから
焚火にでも使えそうな細い木を探しておいてくれ」
私はそう言い残すと森へと駆け出した。
いつもより視線も低く、思っている以上に動きが悪い。
せいぜい捕まえられるのは蛇かうさぎぐらいだな…
私は草の影に身を潜め、前を動物が通るのをひたすら待った。
すると小鹿が通りかかった。
しめた!と私は思ったが、草むらから出る前に気付かれて逃げられてしまった。
今の私では小鹿すら捕まえられないのか…と思っていると、
うさぎが不思議そうな顔をしてこちらを見ていた。
「こうなったらもう素手で捕まえるしか…!」
そう思って私は必死で追いかけ、手を伸ばした。
すると、何とかうさぎを捕まえることができた。
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