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しばらくすると、何となく室内の様子に違和感を感じ始めた。
何がおかしいのか、はっきりとは分からない。
しかし、どうも変だった。
それは次第に、あからさまになっていく。
ポツリポツリといる女性の様子が、普通ではない。
いや、合コン会場ではおかしいと言った方が良いのかもしれなかった。
先程自己紹介をしていた彩奈は、安らかな顔をして友樹の肩にもたれ、眠り込んでしまっている。
また彩奈と火花を散らしていた女性は、まるで麻薬でも打ち込まれたかのようにトロンとした目を虚空に向けて笑っていた。
そして向かいの奥のグループに座る女性は俯き、何やらボソボソと呟き続けている。
まるで、ドラッグでも盛られているかのような異様な光景だった。
―― これ、もしかしたらヤバイ店?
私の鼻腔を、どこからか漂ってくる甘ったるい匂いが掠める。
アロマのような匂いの出所を、視線を向けて探すも分からない。
「ちょっと、お化粧室に」
嫌な予感がして、トイレに立つふりをして会場を抜け出した。
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