キスの日の話(改稿版)

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沙保の頸に両腕を回して、身体ごと引き寄せる。ひたいがぶつかって、まつ毛とまつ毛が優しくふれ合う。  そして、すぅっと細められた漆黒の瞳に吸い込まれそう、と思った瞬間、視界は沙保でいっぱいに覆われた。誘うように下唇をちうと吸い上げたかと思うと、いたずらに表面をかすめては離れていく。  沙保の唇を追いかけて自分から舌を絡めると、かすかに彼女の口もとがほころんだ。 「早く抱いてのキス?」 「…おかえりのキス」  沙保は小さく笑って、ただいま、と囁くと、私の耳たぶに触れるだけのキスを落とした。    私を求める唇も、器用に服のすそを捲り上げていく指先も優しい。触れられるだけで、愛されていると伝わってくるくらいに。  キスの合間に、いつの間にかブラのホックは外され、胸がこぼれ出る。一瞬で流れていく私の乳房を、温かな手のひらがそうっと掬い上げた。  沙保は親指の腹でするりと乳首を撫ぜると、押し当てるように舌を這わせた。  私が上体を震わせるのを見て、沙保はもう片方をこすりながら、乳首に吸い付いた。自在に動く柔らかい舌先に乳首をこね回され、私は声をもらした。 「あぁっ…ん」  乳首を咥えたまま、沙保はくぐもった声で「かわいい」とつぶやいた。その拍子に歯がカリッと食い込んで、下腹部が熱く疼き出す。
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