キスの日の話(改稿版)

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身に付けたままになっていたスカートがはだけるのもかまわず、私は沙保の腰に両脚を絡めた。むき出しの太ももをつつっと沙保の指先が這い上がり、焦らすように下着のサイドリボンを撫でさする。 「下着かわいいから、脱がすのもったいないな…」 「脱いだらかわいくないみたい」 「脱いだらもっとかわいいよ」  沙保はそう言って笑うと、ムッと突き出た私の唇をついばんだ。そしてそのまま、抱き抱えるようにして私の腰を浮かせ、熟した果物の皮でも剥くみたいにするすると器用にスカートと下着をはぎ取った。  激しく舌を絡ませ合いながら、「私も脱がせて」と言う沙保をようやく裸にする頃には、私の息はすっかり上がっていた。  沙保の唇がかすかに鳥肌のたった全身に点々と触れ、少しずつおへその方へと下っていく。  首すじに、胸もとに、おなかに、「燈子さんの汗、いい匂いってキス」だとか「ここにほくろあるの知ってた?ってキス」だとか、いくつものへんてこな「キス」が降ってくる。もう何でもありみたいだ。  強く吸ったり、痕を付けたりはしない。そっと慈しむような口づけがじんわりと肌を温め、下腹部の熱を昂らせていく。シャワーを浴びたか思い返すのも忘れ、私は腰を押しつけるようにして、沙保の肩に両脚を引っかけた。  内腿に「大胆なんだから~ってキス」をした後で、おなかに「おへそもかわいいってキス」を落とすと、沙保は下腹部へ鼻先を滑らせた。  ハッとして、帰ってからシャワー浴びたから大丈夫、と安心したのもつかの間、熱い吐息が私の秘部を撫でた。身体の奥底からとろとろに溶かされて、下腹部が熱く滾った欲情の波で満たされていく。  沙保は私の下腹に頬擦りすると、舌先でぬるりと恥毛を絡めとった。ねっとり口内でしゃぶられたかと思うと、沙保はもどかしくくねる私の腰をつかまえて、ぱくりと泉にかぶりついた。  果汁でもすするように、沙保の唇が溢れた愛液を大げさな音を立てて吸い上げる。湿った舌先に襞の隙間を丹念になめ上げられ、喉の奥から声がこぼれ出た。 「ぁっ…ああっ」  かわいい、私の下腹部で沙保の唇はそう動いた。  
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