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出会い
一瞬、暗くなったが、すぐに明るくなった。
カーブになっていて、若干、見通しの悪い場所に、タイムマシーンは止まっていた。
「つ、着いた…の…?」
愛萌は、呟くように言った。
タイムマシーンから降りてみる。
気のせいか、空気が美味しい。
「ここが、1548年の栃尾城付近…。」
愛萌は、キョロキョロと辺りを見渡す。
近くに大きな山が見える。
おそらく鶴城山だろう。
《パカラッパカラッ》
━━何かが近付いて来る音がした。
「うわぁー!」
馬に乗った誰かが叫びながら、タイムマシーンめがけて突撃して来た。
突撃して来たというよりは、馬で走っていた時に、急に目の前にタイムマシーンがあったという感じだ。
《ドカーン!》
勢いよく、その誰かは、タイムマシーンに激突して、落馬した。
「え!?」
愛萌は驚いた。
「な、何…。」
愛萌は、突撃して来たものを見た。
━━馬が倒れている。
そのすぐ近くに、男性も倒れていた。
「だ、大丈夫ですか!?」
愛萌は、その男性の元へ駆け寄った。
その男性、身長は愛萌よりも低そうだが、なかなかの美形だ。
「!?」
愛萌は、絶句した。
━━その男性は、息をしてなかったのだ…。
「ど、どうしよう…。」
愛萌は、真っ青になった。
《パカラッパカラッ》
別の音が近付いて来た。
━━馬に乗った男性だった。
「!?」
その男性は、絶句していた。
「か、景虎(かげとら)様…。」
馬から降りた男性が言った。
「!?」
愛萌は、目を丸くした。
その名前に、聞き覚えがあったのだ。
「ん?」
その男性は、愛萌を見て、
「おぬしは?」
と訊いた。
「わ、私は…。」
愛萌は震えながら、
「山崎…愛萌…です…。」
と答えた。
「おぬしが、景虎様を?」
と、男性は訊いた。
「済みません。」
愛萌は申し訳なさそうに、
「この方が、私のタイムマシーンにぶつかってしまって…。」
と、頭を下げた。
「た、たいむ…ましん…?」
男性は不思議そうな顔をした。
「はい。」
愛萌は頷くと、
「471年後の時代から来ました。」
と、答えた。
「何と?」
男性は、目を丸くして、
「おぬしは、時を越えて来たと申すのか?」
と、愛萌を見た。
「は、はい…。」
愛萌は頷いた。
「……。」
男性はしばらく考えてから、
「その着物は、おぬしが、生きている時代の物なのか?」
と、訊いた。
「は、はい…。」
愛萌は頷いた。
━━愛萌の服装は、白ベースのパーカーに、ベージュ系のロングスカート、スニーカーという、清楚な感じで、どこか上品な服装だった。
「このような鉄甲船(てっこうせん)が相手では、流石の景虎様でも歯も立たぬか…。」
男性は、タイムマシーンを見た。
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