「ここで抱かせて」

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そこには写真が写っていて、それが自分と雪乃との先日のデートの写真だと分かった晴久は、蕎麦を詰まらせ咳き込んだ。 「……小山、それっ……」 「高杉課長ですよね、これ! 女性社員の間で噂になってるらしいんですけど、課長ったらいつの間に恋人いたんですか!? んもう、俺心配してたのに!」 「待て待て待て。ちょっと説明してくれ。なんで小山がそんな写真を持ってるんだ」 「出張中に彼女から送られて来たんですよ。なんかよく分からないんですけど、この写真が女子の間で出回ってることが高杉課長に知られないようにしてくれって」 「……俺に知られないように?」 「そうなんです。あ、メッセージ見ます?」 小山は画面を写真からメッセージに切り替えた。 いつになく黒い皆子の文面が写し出される。 『ちょっと訳ありなの。協力して。今この写真が女性社員の間で出回ってるんだけど、高杉課長にこのことを知られないように根回ししといて! バレたらフラれるかもって彼女が言ってるから』 その下には、小山の『出張だから無理~』という気の抜けた返信で終わっていた。 「まあ今言っちゃいましたけど。知らないことにして下さいね、課長。それより彼女さん美人すぎません? 皆子は知り合いっぽいんですけど」
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