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すぐにメッセージの続きが来た。
『驚かせたくないから先に言うよ。今、雪乃のアパートの前に来てる。話がしたい』
雪乃はブランケットから飛び出して起き上がった。
カーテンは閉まっているが窓を見た後、そちらではなくこっちかと玄関に視線を向けるが、気配は感じない。
そもそもエントランスには鍵が掛かっている。
実際は、晴久は雪乃を怯えさせないために、まだアパートのエントランスから十メートルほど離れた場所にいた。
電気が点いているため雪乃が部屋にいることは分かっており、既読が付いたことも確認済みである。
しかし気長に、立ったままメッセージの返信が来るのを待っていた。
雪乃はカーテンの隙間からそんな晴久の様子を見て、もうこれ以上逃げられないと分かった。
『202番を呼び出してもらえますか。今開けます』
そう返信をし、既読が付くと、理解した晴久はすぐにエントランスの盤面で操作をし、解錠された。
雪乃も、部屋から外へ出て、彼を待った。
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