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今まで周囲から逃れ、ひっそりと付き合ってきたふたり。
雪乃は当然、それが晴久の望む形だとばかり思っていた。
しかし今の彼はそんなことは微塵も感じさせない、堂々とした瞳で見つめている。
「晴久さん……本当に、いいんですか? 私、距離を置いた方が良いのかと思って……」
「距離を置くなんて耐えられない。二日離れただけで、俺はもうこんなだよ」
“こんな”というのを体感させるため、晴久は雪乃とさらに密着した。
「ひゃあっ……」
グッと背後に押し付けられた感触に、雪乃は体を熱くさせる。
一週間でじっくり抱き合ったお互いの体は、二日離れるだけで焦がれるほどに欲していた。
晴久は、充分に火照った彼女の体をこちらに向かせると、押し付けたまま、唇をつけた。
「……ん……」
じんと熱く、待ち遠しい感覚が、ふたりの体に火を点ける。
蕩けるようなキスの後で、晴久は座ったまま、雪乃の服をまさぐった。
「待って……!」
ブラウスの裾をスカートから出そうとする晴久の手を、雪乃は掴んで止め、首を横に振った。
晴久は待てをされた狼のように荒い息をしている。
「私、まだお風呂に入っていなくて……」
「ごめん。俺もだけど、嫌?」
「えっ、いえ私は全然……」
「じゃあ問題ない。ここで抱かせて」
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