「世界一幸せにするつもりだよ」

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外で聞いている晴久は悩ましく俯いている雪乃の代わりに自分が答えてあげたいくらいだったが、雪乃と部下の問題が絡んでいる状態で出ていくことはできないと判断し、彼女を見守っていた。 雪乃は首を傾げながらも自分なりの答えを見つけ、ポツリと答える。 「タイミングだったと思います」 「……タイミング?」 「私は口下手ですし、面白くもないですし、一緒にいて誰かを楽しませることは苦手です。でも本当に運良く、高杉課長と巡り会うことができました。会社以外の場所で出会いました。少し運命的だったと思います。どうやって出会ったかは、秘密にさせてもらいたいんですが……」 「そう言われると聞きたくなっちゃうんですけど」 「秘密です。本当に運命的だったので。そのときの相手が私ではなくて岩瀬さんだったとしたら、岩瀬さんが恋人になっていたと思います」 岩瀬は眉を寄せた。 外で聞いている晴久も、じっと耐えていた。 雪乃は本心を告げたつもりだったが、それは岩瀬を納得させはせず、代わりに彼女は「分かってないですねっ」と頬を膨らませ、雪乃に詰め寄っていく。
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