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「そんなわけないじゃないですか! 細川さんだから選ばれたんです!」
「……え?」
「細川さんって、自己評価低すぎですよね! 仕事もできるし、優しいし、フォローしてくるし、総務部に入ったときから細川さんみたいになりたいって思ってたんですから!」
「岩瀬さん……」
「でも最近、私が課長に告白したのを知ってからすごく余所余所しいですよね! あれやめてください! 私、細川さんに距離を置かれたくありません!」
雪乃は晴久に告白されたときと同じくらいに顔が熱くなり、「えっえっ」と慌て出した。
終始睨み付けてくる生意気な岩瀬だが、それ以上に懇願する目を向けてくる。
雪乃はそれに深呼吸をし、落ち着いて応えた。
「……ごめんなさい。後ろめたい気持ちがあってあまり話せなくなってしまって。これからはたくさん話しましょう。ね。岩瀬さん」
「……ううぅ、お願いします」
相変わらずぐすぐすとベソをかいている岩瀬が可愛くなり、ショートカットの髪をポンポンと撫でた。
一部始終を見ていた晴久は何とも言えない気恥ずかしい気持ちになり、口を押さえてしばらく熱さに耐えていた。
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