「世界一幸せにするつもりだよ」

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「じゃあ私、行きます。お昼にすみませんでした。……今度、ご飯とか連れてって下さいね」 「うん。そうしましょう。正直に伝えてくれて、どうもありがとう」 そう話しながら雪乃と岩瀬がフリースペースから出て来ると、晴久はサッと壁際に隠れた。 ふたりは入り口で手を振って別れ、まだ昼食を買いに行ってもいない岩瀬は足早に廊下を走って去っていく。 雪乃はフリースペースの入り口にしばらく立ったまま、岩瀬に言われたことにまだ頬を赤らめていた。 「雪乃」 「えっ」 我慢ができず、雪乃がひとりきりになったところを見計らい、出てきた晴久は彼女の手を掴んでフリースペースの中へと引き込んだ。 カーテンは閉まり、電気を消して戸締まりをしてある室内は、昼なのに薄暗い。 晴久は、雪乃と室内に入るとドアを閉め、背後で鍵を掛ける。 そしてすぐに彼女を抱き締めた。 「晴久さん……!」 何が起こったのかすぐには分からなかった雪乃だが、晴久の腕の中にいるのが分かると顔を上げ、パクパクと口を動かしている。 「……見てた」 晴久は短くそう言ったが、それは雪乃を誘うような甘い声である。
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