「俺の家に来ませんか」

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通話はそのままに、すぐに彼女の部屋の鍵が回る音がして、先ほど別れたときと何も変わらない格好の雪乃が取り乱しながら現れた。 フロアを見上げている晴久と目が合うと、彼女は安堵で眼鏡が曇るほど涙を流しながら、階段をかけ降りてくる。 「高杉さんっ」 抱きついてくるのではないかというほどの勢いで彼女の体は自動ドアから出てきたが、なんとか晴久の袖を掴むにとどまった。 「細川さん。大丈夫ですから」 晴久は冷静に、雪乃を抱き寄せた。 この様子では彼女がエントランスの鍵を持って出てきたとは思えないため、すぐさま閉まる自動ドアに手を挟んで阻止をする。 胸にしがみついてくる彼女ごと、とりあえず自動ドアの内側へ移動した。 しばらく待ち、彼女の泣き声が小さくなってきたところで、向き合わせて優しく問いかける。 「……落ち着きましたか」 彼女は晴久の安心感のある声に、収まりかけていた涙がまたぼたぼたと流れてきた。
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