「俺の家に来ませんか」

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「すみません……」 「いえ、ここにいて良かったです。どうしました。電気が点かないというのは?」 「部屋が、メインの電気が切れていて真っ暗で……。いつも電気を点けたまま寝るので、朝は気付かなかったみたいです……。それでまたパニックになってしまいました。ご迷惑ばかりですみません……」 「……それで、どうするんですか?」 尋ねられると、雪乃はさらに涙を溢れさせた。 どうするかはまでは考えていなかった。 どうすれば良いか自分自身が一番分かっていないのに、それを聞かれては責められている気持ちになったのだ。 「電球を買います……さっきのコンビニに売っていれば……」 苦し紛れにそう言うが、それを実践するには乗り越えなければならないものが多すぎることに雪乃は頭が回っていない。 また夜道を駅近くまで歩いて戻ってこなければならないし、そもそも彼女は混乱していて勘違いをしているが、必要なのは電球ではなく蛍光灯である。
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