「俺の家に来ませんか」

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コップに入った冷たいお茶をテーブルに出され、雪乃はさらに端に寄り、晴久が座る空間を開けた。 隣り合って座ると、今まで積極的に彼女を手助けしてきた晴久もこの状況に弱り、頭をかいた。 「高杉さんのお顔……初めてちゃんと見ました」 素顔の話題に先に触れたのは、雪乃。言い出さずにはいられなかった。 彼女が先にそう言ってくれたことで、晴久もホッとする。 彼だってこのまま触れずに過ごすのは無理だと思っていたところだ。 「そうですね、外では必ず眼鏡とマスクをしていますので。特段目は悪くないのですが。……あの、細川さんもですよね」 「はい、私も。外では眼鏡とマスクがないと落ち着かなくて」 「それは、言い寄られるのを防ぐために?」 ずばり聞かれ、雪乃はうつ向く。
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