「俺の家に来ませんか」

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「自意識過剰だと思われてしまうかもしれませんが……こうしていれば、男の人から話しかけられることもないので」 「いや過剰ではないと思いますよ。男は細川さんのことを放っておかないでしょう。今まで声をかけられることも多かったのでは? 」 「そうなんですよね……。あの、高杉さんは? どうして眼鏡とマスクを?」 高杉も理由を言い淀み、首の後ろをかいた。 「……俺も同じです。自分で言うのもなんですが、素顔でいると女性に必要以上に干渉されてしまうので隠しています」 「あ、やっぱり……。高杉さんのお顔、女性は皆好きだと思います」 「……あ、ありがとうございます」 皆というなら、雪乃はどうなのか。 晴久はそれが気になったがもちろん聞くことはできない。 遠回しに素顔を誉め合う形となったが、お互い様なので二人ともこれ以上掘り返すことはしなかった。 話すたびに雪乃の髪からシャンプーの香りが漂ってくる。 このまま隣り合っていては精神衛生上あまり良くないと思い始めた晴久は、もう寝ようと決意した。 「寝室ですが、良ければベッドを使って下さい。シーツは週末に洗ってありますが……嫌でなければ」 リビングの戸の向こうの寝室を指差し、晴久は言った。
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