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「一緒にって、細川さん、それは……」
「すすすみません! ひとりで寝るのが怖くて、つい変なことを言ってしまって! 嫌ですよね、一緒になんて。私ったら何言ってるんだろう……」
雪乃は両手を頬に当ててプルプルと首を振り、羞恥心から目には涙を浮かべている。
晴久はゴクリと喉を鳴らした。
ここまでの出来事のせいで、彼女の距離感は完全に麻痺していることは分かっているが、その案に乗っかって彼女と一緒にベッドに入ることへの好奇心が抑えられなくなった。
「……いいですよ。一緒に寝ますか」
晴久が試しにそう言うと、今度は雪乃の方が慌て出す。
「あのっ……すみません、どうしましょう……」
彼女の初心な反応に、晴久はもう別々に眠る案に戻れそうになかった。
「俺はかまいませんよ」
ソファで距離を保ったまま、二人の駆け引きが行われる。
雪乃は自分で言い出したもののいざそういう雰囲気になったら困り出すのだが、紳士的な晴久の真っ直ぐな瞳に、疑いを持つことはやめた。
「……じゃあ、お願いします」
痺れる緊張感が漂う中、お互い合意の上で、二人は寝室へと入っていった。
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