「俺の家に来ませんか」

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晴久は雪乃に希望を確認し、電気は消し、サイドランプを点けた。 「暗くないですか」 「はい。ありがとうございます」 二人で探り探り、ベッドへと入った。 肌触りの良い綿毛布に包まれ、布団の中には二人分の熱がこもる。 想像していたよりもお互いの距離が近い。 かといって背を向けるのは失礼だと思った雪乃は、ひたすらに天井に向かって目を閉じていた。 晴久も、ランプの光に浮かぶ雪乃を見てはいけないと必死に目を逸らしていたが、こんなことではいつまで経っても眠れる気がしなかった。 思い切って、彼女に体を向けてみる。 「……細川さん、ひとつ聞きたいんですが」 「はいっ」 晴久に顔を向けると体ごとこちらを向いている彼を目の当たりにし、雪乃はまたみるみる赤くなった。 「男が苦手なのに、俺のことは大丈夫だと言っていたのはどうしてですか」 晴久は核心を突いた。 彼女は男性が苦手だと言いながら、なぜほとんど初対面である自分には警戒心がないのか。 雪乃もまた、核心を突かれてしまったことに動揺して硬直する。 しかし正直な雪乃は誤魔化すことはできず、頬に手を当てながらベッドの中に潜り、答えをつぶやいた。 「……いつも電車で高杉さんのことを見ていたんです。素敵だなって思って」 いきなりの告白にグッと胸を打たれた晴久だが、同時に頭にはたくさんのハテナマークが浮かんでくる。 素顔を明かしていないのに、好意を持たれる覚えがなかった。
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