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「あ、そうそう、岩瀬さんと言えば。あの子、課長のこと狙ってるんじゃないかって噂になってるのよ。新入社員なのに、今の若い子は本当オマセなんだから」
「え!?」
雪乃は手にとっていた資料をはらはらと落とした。
彼女たちのボス、総務課長と言えば、チョイデブ・チョビヒゲ・ハゲチョビンのおじ様。
あの課長を岩瀬さんが狙ってる? 雪乃はマスクの下でそんな驚愕の表情をした。
愛妻家なのが唯一の取り柄、いやそれは大きなアドバンテージ? でも、ならむしろ狙うのは絶望的なんじゃ? 岩瀬さんと奥さんのバトル?
いやいやいやいや、そんな穏やかじゃないことはやめて欲しい!……と。マスクの中で百面相をする雪乃。
「あ、雪乃ちゃん多分違う方を想像してるよ。うちの課長じゃないからね。そんなことになったらもっと笑ってるから私。そうじゃなくて、もちろんあの営業部のイケメン課長の方だから」
「あ、なんだ……」
ホッとして元の姿勢に戻るが、雪乃は実はそっちの課長については全く何も知らない。
よく皆子が話題にするのだが、実際に見たことも会ったこともない人物だった。
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