「連絡を取るのは控えましょう」

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◇◇◇ 晴久は営業部と総務部の中間地点にあるフリースペースでコンビニの昼食をとり、フロアへ戻った。 ポケットには、短い昼食中に女性社員から渡された手紙が入っている。 その人の想いが込もっていることを頭では理解しているつもりだが、拭いきれない嫌悪感が付きまとっていた。 「今の見ちゃいましたよ、高杉課長」 廊下で後ろから声をかけてきたのは、部下の小山(こやま)。 晴久のひとつ年下の主任職で、課長の晴久を慕い、子分のように付き従えている。 彼は晴久の懐を指差し、ニヤニヤと寄ってきた。 「さっき手紙渡されてましたよね。確かあれは、総務の岩瀬さん」 「知ってるのか」 「そりゃ知ってますよ。めちゃくちゃ美人で有名じゃないですか。そうかー、岩瀬さんも課長狙いでしたかー」 渡されただけでまだ読んでいないが、渡されたときの様子を思い出すと書かれていることは予想がついている。 その上で読む気が起きなかった。 小山は試しに「見せてくださいよ」とお願いしてみるが、晴久はすぐに「駄目だ」と断る。
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