「連絡を取るのは控えましょう」

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「さすが課長、鋭い! 細川さんが顔を隠しているのには、実は深ーい理由があるんです。教えてあげますけど、秘密にしてくれます?」 だから言うなと言ってるだろうがと腹が立ってきた晴久は「いい」と断るが、言いたくて仕方ない小山は逃がさない。 すでに知っている晴久は仕方なく足を止めた。 「手短に言え」 「実は、男性恐怖症なんですって」 ほら知っている、と晴久はため息をついた。 「そんなことか」 「問題はそのきっかけですよ。ストーカーに夜道で後をつけられたことがあって、そのまま、襲われちゃったらしいです」 「…………襲われた?」 「あ、襲われたと言っても、未遂だったらしいですよ。でも家まで押し掛けられて、押し倒されるところまでいって、隣の住人が気付いたから助かったんですって。それから暗闇と男が駄目だとか。顔を隠しているのも男避けです。可愛いのに勿体ないですよねぇ。そのストーカー男、死刑ですよ死刑。あ、この話マジで誰にも言わないで下さいね? 皆子から口止めされてるんで。口が固ーい課長だから話したんですから」 晴久は神妙な顔で口を覆った。 小山の「高杉さん聞いてますー?」という問いかけも耳に届かない。
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