「連絡を取るのは控えましょう」

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昨夜の雪乃の説明は全てではなかったと知り、晴久は、昨夜の、泣きながら震えていた彼女を思い出した。 襲われた事実については隠していたということは、それはまだ彼女の中で消化しきれていないということ。 「……小山。その話は彼女のプライバシーに関わる。例え俺にでも軽々しく話すべきじゃないだろう。よく考えろ」 「え? あ、はい。すいません……」 彼女のトラウマは予想以上に影を落とすものだった。 誰かに守ってもらえることもなく、ひとりで暗闇に怯えて、素顔を明かすこともできず、恐怖ゆえ男を頼ることもできない。 そんな雪乃のことを考えると、晴久は可哀想でならなかった。 『是非今度、昨日のお礼がしたいです』 なら、あれは彼女なりのSOSだったのでは。 誰にも頼れなかった雪乃にとっては昨夜のことは特別で、これからも晴久を頼りたいという期待が込められていたのかもしれない。 それを無下に切り捨ててしまった。 晴久は彼女を傷付けたことを自覚すると、後悔に苛まれた。
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