「興味があるのは君だけだから」

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晴久と雪乃は開かれた道を堂々と突破し、店の外に出た。 しばらくは恋人のふりをしたまま歩き続け駅へと戻り、そこでやっと体を離す。 「高杉さん……ありがとうございました。またご迷惑をかけてしまって……」 「いえ。細川さんこそ、怖い思いをされたでしょう。でもなぜあんなところに?」 「私のアパートの電気が切れているので、買いに来たんです」 「ああ、そういえばそうでしたね」 「お店のトイレに入ったときマスクを外したんです。それをそのまま忘れてしまって、戻ったらもう捨てられていて。仕方なく無いまま買い物をしたんですが……しばらくして、あの人につけられていることに気付いたんです」 電気のことを失念していた晴久は、余計に雪乃に申し訳なくなった。 あんなに冷たいメッセージを送らなければ、彼女は自分と一緒に電気屋へ来ることができたはず。 自分のことばかりで雪乃に対する気遣いができなかった。 そしてその結果、雪乃がこんな目に遇ったのだと責任を感じ、晴久は奥歯を噛む。 二人は並んで改札を通り、ホームに並んだ。 かろうじてラッシュの時間は過ぎており、人はまばらだった。 「それで、買い物は?」 鞄以外に荷物のない雪乃に、一応尋ねた。 「……買えませんでした。買う前に、ああなってしまって」
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