「興味があるのは君だけだから」

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さらに数駅先で多くの人が降り、車両が空いたたところで、晴久は彼女の肩に触れた。 ピクリと反応を見せた雪乃だが、顔を上げようとはしない。 「……細川さん」 “ぐすっ”という音とともに雪乃は肩を震わせ、声を絞り出した。 「だって……迷惑だったんじゃないですか。もう連絡しないでって仰ってたから」 「すみません。それは違うんです、俺は……」 「高杉さん、告白をされていましたよね。岩瀬さんから。聞こえていました。だから私に頼られると、誤解されちゃいますものね」 「違います」 ちらちらと見られていることに限界を感じた晴久は、雪乃には端的な返事だけをし、駅に着くのをじっと待った。 雪乃はビジネスホテルのある二つ前の駅で恐る恐る顔を上げてはみたが、晴久に絶対にここでは降ろさないとばかりに手を握られる。 その力の強さに驚いた雪乃は、これ以上反発することはできず、大人しく座っているしかなかった。 やがて最寄駅に到着した。 視線の合わない重い空気の中、手だけ繋がった状態で、二人はホームからすでにばらばらと人の去ったロータリーへと降りる。 不貞腐れていた雪乃も、晴久に従い、俯いたまましぶしぶ彼と向き合った。
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