6329人が本棚に入れています
本棚に追加
「で、誰?」
皆子に再度小声で聞かれ、雪乃は今度こそ誤魔化しきれないと観念し、うつ向いた。
「言えません……。私の一方的な片思いですし……」
「えー、そうなの? 知りたかったなぁ。……どうしても駄目?」
「ごめんなさい皆子さん……いつもお話聞いてもらってるのに……」
実際はただ好奇心で聞き出しているだけだったが、健気に謝る雪乃に同性ながら胸がトキめいた皆子。
デスクの引き出しを開け、小さな缶から銀紙に包まれたチョコレートをひとつ取って雪乃のデスクへ転がした。
「いいよいいよ。男の人が苦手な雪乃ちゃんに好きな人ができたってだけで、まずは嬉しいから。それお祝いね」
「わ……ありがとうございます」
小さなチョコレートひとつで目を細めて喜ぶ雪乃を見て、皆子も頬杖をついて微笑んだ。
「雪乃ちゃんは性格も良いし、顔はもちろん言うことなしなんだから。素直になれば上手くいくと思うよ。自信持って」
「……頑張ってみます!」
最初のコメントを投稿しよう!