「俺に下心がないと思う?」

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食事が終わり二人で片付けを済ませると、交代でシャワーを浴びた。 「一緒に入る?」と喉元まで出かかっても決して口にはしなかった晴久と、そんなことは知らずにすっかり安心しきった雪乃、緊張感に差のある二人は今夜も同じベッドに入る。 ランプの光に切り替え、昨夜と同じように、雪乃は晴久が手を握りやすいように体を寄せた。 肩が触れあうと、晴久は深呼吸をしてから、手を握る。 「怖くない?」 強引ではないかと思い、すぐに聞いた。 雪乃はコロンと頭を向けると、小動物のように横に振る。 「怖くないです。少し、緊張していますけど」 「良かった」 彼女がまた距離を縮めて寄り添ってくると、晴久はかすかに揺れた。 思いきって手を回して体を抱き寄せ、優しく頭を撫でる。 雪乃は子供のように目を細めた。 「晴久さん……」 「……少し反省しているんだ。雪乃が何でも聞いてくれるからって、俺は強引にやりすぎだよな。まだ知り合って数日なのに無理やり家に連れ込んでるんだから、君のご両親に怒られそうだ」 「そんなことないです。私も好きでこうしているんですから、強引じゃありません。それに、うちの両親も晴久さんのこと素敵だって思うはずです」
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