6326人が本棚に入れています
本棚に追加
/128ページ
雪乃が準備ができた旨の連絡を入れると、晴久はすぐに迎えに来た。
「晴久さん、お待たせしまし、た……」
エントランスで落ち合うと、雪乃は現れた晴久に目を奪われた。
彼の私服はシンプルだがスマートで、端正な顔を際立たせている。
スーツのときは後ろに流していた髪を今日の彼は前に流しており、いつもより若々しく見えた。
スーツでは上司というイメージが強かったが、今は恋人として隣を歩くのだと思うと、これからデートだという実感が湧いてくる。
しかし舞い上がりそうになっているのは晴久も同じだった。
「どうしよう、すごい可愛いな、雪乃……」
可憐に仕上がっている雪乃に、簡単に肩を抱くことも躊躇するほど。
「そんな……! 晴久さんの方が素敵で、直視できないです」
眩しい、というジェスチャーをした雪乃のおかげでほんの少し緊張がほぐれていく。
思いきって袖に触れてきた彼女に応え、晴久はその手を握った。
最初のコメントを投稿しよう!