「ここで抱かせて」

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「ねえ雪乃ちゃん、どうなの!?」 これ以上、誤魔化すことはできない。そう判断した雪乃は肩をすぼめ、マスクの中でボソボソと話し出した。 「はい、付き合ってます……。でも皆子さんが課長のお話をしていたときは本当に知らなかったんです。先週知り合って、すぐにお付き合いすることになったので……」 「じゃあこの間言ってた好きな人って、高杉課長のことだったの!?」 「はい……すみません」 謝罪の必要はないはずだが、雪乃はひたすら縮こまった。 まだ理解できない、といった顔をしている皆子だが、まるで雪乃を苛めている気分になり、とりあえずそれ以上の問い詰めは保留する。 「分かった。写真のとおり、本当に付き合ってるってことね」 皆子はため息をつき、携帯を引っ込めた。 「でも大変よ。この写真、社内の女子の間で出回ってるんだから」 「……え?」 皆子はさらに携帯画面を弄り、混乱する雪乃にもう一度、今度は別の画面を見せた。 この写真が皆子のもとへ回ってきたときのメッセージ画面である。 『 広報部の子から回ってきたよ! 土曜日、デート中の高杉課長を発見だって! ていうか彼女もめちゃくちゃ美人! 誰なんだろ!?』 メッセージを読んだ雪乃は、再びサッと血の気が引いていく。
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