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そのとき、きゃあきゃあと騒がしい声が聞こえてきた。
背の高い男子は、私から視線を外しそっちを見た。
あれ? た、助かった?
「うわ、高等部の先輩たちじゃん。やっかいだな。早く行こう」
背の高い男子は、面倒くさそうに言うと、歩き出す。
私のことはもうどうでもよくなったらしく、少しほっとする。
慌てた様子で四人とも入り口に向かいだしたけれど、あっという間に女子たちに囲まれていた。
「流星たちじゃーん!」
「今日から高等部だね! 一緒の校舎になるの嬉しいーー」
「高等部の制服も似合う!」
きゃあきゃあ声の中、ぽつんと私と芽衣は取り残される。
「なんか、すごいね」
芽衣に言われて、うなずいた。
流星たち、先輩の女子にも一目おかれてるんだ。
そりゃそうだよね。あんなにかっこいい感じの人が集まってたら。
ずっと、流星に釣り合うように、今度は自信を持って隣にいられるように、かんばってきたつもり。
だけど、こんなに人気者になってるなんて……。
女子に囲まれる後ろ姿を見つめていると、ふと流星が振り返った。
「……星奈?」
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