60人が本棚に入れています
本棚に追加
名前を呼ばれて、心臓がはねた。
うそ、私のこと覚えてくれたの?
嬉しくて、今すぐかけよりたかった。
私、流星にまた会いたくて受験がんばったんだよ。
あのときのこと、誤解だよ。
本当は私、流星のこと……。
「流星? どした?」
背の高い男子の声がして、はっとする。
だめ。やっぱり行けない。
私は顔をふせた。
今の私じゃ、まだ、全然釣り合わないよ……。
こんな私じゃ、流星の隣にいられない。
あんなにキラキラしてる流星の隣なんて、私にはふさわしくない。
「芽衣、行こっ」
私は返事をしないまま、芽衣を引っ張って外部生の入り口に向かった。
「えっ、ねぇ。星奈? あの人が流星って子じゃないの?」
芽衣の問いかけに、頭をぶんぶんふる。
また、だめだった。
自信のないところ、全然変わってない。
やっと流星に会えたのに。
泣きそうなのを必死にこらえて歩き続けた。
流星が、ずっと私を見ているのにも、気づかずに。
最初のコメントを投稿しよう!