朝食の支度

1/1
前へ
/313ページ
次へ

朝食の支度

翌日、蓮はアラームの音で目を覚ました。 アラームの音といっても、鳴ったか、鳴ってないか、わからないほどの音量で、 しかもアラームが鳴ったと同時に起き、すぐに消す。 寝室まで聞こえることはないと思うけど、こんなに早くに佐々木さんを起こしてしまったら、可愛そうだから… 蓮はソファーから起き上がると、念の為寝室のドアを、そーっと少しだけ開けた。 まだ寝てる…… 佐々木がまだベットで眠っている事を確認すると、自分の支度を済ませ、早速朝食作りを始めた。 二日酔いにいい朝食は…… 薄味の和食。 しじみ汁は必須だな。 それから…… 蓮が冷蔵庫を開けると『ここはレストランの冷蔵庫か?』と思うような色々な食材が並んでいた。 その中から選出されたメニューは、 炊き立ての白米、梅干し、ほうれん草のお浸し、ひじき、だし巻き卵、大根おろし、焼鮭に、しじみ汁… だし汁はしっかりとって、塩分控えめ… もうそろそろ出来上がるから一度、佐々木さん、起こしに行った方がいいな。 蓮は佐々木が眠る寝室に向かい、 「佐々木さん。朝です、起きてください」 「……」 佐々木からの返事はなし。 「佐々木さん。お仕事に遅れますよ」 蓮は佐々木の体を揺すりながら、少し大きめの声で声をかけた。 「……」 「佐々木さん‼︎」 「……今日は……何日ですか?…」 ‼︎ あんなに寝ていたのに、意外にきちんとした質問が返ってきて、蓮は少し驚いた。 「今日は4月○日の×曜日です」 「じゃあ大丈夫です。……その日は……休みです…」 佐々木はそれだけ蓮に伝えると、またスヤスヤ眠っていった。 ……。 まー、本人がそういうのなら大丈夫でしょう。 起きられる気配も、全くないし… 蓮はまたキッチンに戻り、朝食作りの続きを始めた。
/313ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3525人が本棚に入れています
本棚に追加