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佐々木、恐縮 ①
「洋食の方がよかったですか?」
「‼︎」
蓮が声をかけると、佐々木はビクッとする。
朝は洋食派だったか…
「洋食もできますが…」
蓮が心配そうにする姿を見た佐々木は、
「いえ‼︎いただきます」
ほうれん草のお浸しを口に運ぶ。
「おいしい‼︎」
満面の笑みでパクパクお浸しを口に運び、
「なんでこんなに美味しいんですか?」
驚いたように、目を見開く。
そんなに喜ばれるなんて…
最近なかったな。
前、付き合ってきた人は、蓮の手料理は美味しいものだと思っていたのか、
それとも当たり前になっていたのか、
料理を褒めたことは、ほとんどなかった。
褒められるって…
認めてもらえるって、嬉しいものだな。
蓮は照れ隠しのように、
「普通ですよ。でも、そう言っていただけて、嬉しいです」
とだけ言って、俯いた。
「あの…それで…どうして俺はここに…いるのでしょうか…?」
佐々木は手探りなのか、質問するときは、いつも恐る恐るだ。
「…やはり、覚えてらっしゃらないんですね」
蓮はバーから今朝までの経緯を、少し割愛しながら説明した。
説明してる間、佐々木は恐縮しきってか、体がどんどん小さくなっていくように蓮は感じた。
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