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返信メール
しかし、いくら待ってもあれから佐々木からの連絡はなかった。
佐々木さん、楽しみですって言ってくれていたけど、あれは社交辞令で本当は嫌だったんじゃないのか……?
俺から連絡する?
いや、もしかしたら俺から連絡するの、迷惑かもしれない。
はぁ〜とため息をつきつつ、珍しくつい仕事中に、佐々木からの連絡のことばかり考えてしまう。
このままではダメだ。
「仕事中だけど、ちょっとコーヒー買ってこようと思って。大山くんはいつもの、いるかい?」
蓮が声をかけた大山と呼ぶその男性は、かわいい系のイケメンだった。
身長も高く蓮と同じで笑顔がとても素敵な、蓮のチームの部下だ。
外の空気でも吸えば、この気持ちはましになるかもしれない。
そう考えた蓮はオフィス近くにある、お気に入りのコーヒーショップに行くことにした。
「立花チーフ、あのコーヒーショップにいかれるんですか?」
「ちょっと気分転換しに。企画に煮詰まった」
確かに煮詰まった。
でも、本当は佐々木さんのことが事が頭にチラついて、仕事に集中できてないからで……
「みんなには内緒……な」
蓮は少し苦笑しながら、大山に耳打ちすると、
「お、俺も行きます」
頬を赤らめた大山が立ち上がった。
「大山くん、あともう少しでキリのいいところだろ?いいよ、オフィスで待ってて。いつもので買ってくるよ」
蓮は優しく微笑むが、大山は明らかにしょんぼりしている。
?
俺変なこと言ったかな?
蓮が首を傾げていると、
「私もコーヒー買いに行きたいです」
蓮と大山の話が聞こえたのか、2人のそばに女性が駆け寄ってきた。
「実は、私も煮詰まってて…。あとで大山さんと追いかけていってもいいですか?」
「…でも…」
少し1人になりたい気もするけど…
「ちなみに、私ももうすぐでキリのいいとこになります!」
片手で元気にガッツポーズをきめる林の姿は、蓮にはどうも妹の姿と重なる。
「じゃあ、先に並んでるから後でおいで」
そういうと、蓮は一足先に店に向かった。
蓮がいつも立ち寄るコーヒーショップは人気で、いつもレジには列ができている。
今頃、佐々木さんはどうしてるんだろう?
仕事……忙しいのかな?
列に並びながらそんな事を考えていると、前に並ぶ人が佐々木の背丈によく似ていて、蓮はハッとする。
まさか…。
…………。
いや、そんな偶然…、ないか……。
こんな事考えるなんて、全然気分転換になってないじゃないか。
早く買って、大山くんたちと合流しよう……
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