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コーヒーショップで ①
そう考えていた時、前に並んでいた人がチラッと横を向き、顔が見え、
!!
「あ、佐々木さん?」
蓮はきちんと顔を確認する前に、前に並ぶ人に声をかけていた。
「立花さん‼︎」
振り返ったのは、驚いた顔をした佐々木だった。
どうしてここに佐々木さんが⁉︎
オフィス近くのここの店には、何度も通ってる。
でも、佐々木さんに会ったことなんて一度もなかった。
初めて会ったのがこのタイミングで、しかも並んでたのが前後だっただなんて…
「立花さんもここのコーヒー飲まれるんですか?」
「はい。ここのコーヒーおいしいですよね」
こんな偶然あるのか⁉︎
偶然にでも、久々に佐々木に会えた蓮からは、笑みが溢れる。
「そうですよね。ここのコーヒーおいしいですよね」
そう答える佐々木もどこか嬉しそうだ。
「立花さんはここによく来られるんですか?」
「私の会社はこの近くなので、後輩とよく来るんです」
「そうなんですね…」
佐々木がはにかむと、蓮の心がキュンとする。
「佐々木さんは、よくこられるんですか?」
「本当は来たいのですが、会社がここから遠いのでなかなか来れなくて…」
今までここで会ったことなかったのは、それでか…
「そうなんですね。もし佐々木さんがよくこられるんだったら、私も毎日くるんですけどね」
ぽろりと蓮の本音が口から溢れる。
しまった……
こんなこと、男に言われたら引くだろうな…
そう思ったが、蓮は言わずにはいられなかった。
「あの…この前のことなんですけど…」
!!
この前のことって、手料理のこと?
蓮が確認しようとした時、
「お次のお客様どうぞ」
「あ、はい」
佐々木は店員に呼ばれ、レジの方を向いてしまう。
せっかく返事がもらえたかもしれないのに…
いつもは長く感じていたレジまでの順番待ちも、今日の蓮にとっては短く感じられる。
注文し終わった佐々木にもう一度話しかけようとした時、蓮は佐々木が頼んだコーヒーに目が入った。
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