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ディナー ⑥
「うわぁ〜。すごく綺麗な盛り付けですね‼︎」
「しかも美味しい!立花さんの料理は本格的で美味しすぎて、もうお店の物は食べられなくなってしまいそうです」
「料理の勉強は誰かに教わったんですか?………え⁉︎独学でここまで‼︎驚きを通り越して、脱帽です」
佐々木は蓮が作った食事を見るたび、口にするたび、驚きの歓声をあげ、この世の中で一番美味しいものを食べているというような、そんな幸せそうな顔で頬張る。
この笑顔が見たかったんだ……
この笑顔……
蓮は佐々木とのたわいもない話が…
料理やワインを口に運ぶ佐々木の姿が、何より嬉しかった。
そして、心の底から自分の中でますます膨れ上がる気持ちを隠そうとするたび、ワインを飲むピッチが早くなっていく。
どうか、こんな時間がこれからもずっと続きますように。
どうか、俺のこの気持ちが、少しでも佐々木さんに伝わりますように…
蓮は佐々木のことが好きだということも、自分がゲイだということも、隠さないとと思う気持ちと、隠したくないという気持ちの中で揺れていた。
食事も終わり、その後は佐々木が持ってきてくれたチーズと共に、また2人でワインを楽しむ。
蓮は酒に弱い方ではなかったが、こんな短時間にこれほどの量を飲んだことはなかった。
だが、全く酔わない…
というか、酔えない。
酔ってしまえば、楽になるかもしれないのに…
もし、俺が変なことを口走っても、それは酔いのせいにできるかもしれないのに…
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